GDP(国内総生産)とは何か?読み間違うと危険!?【簡単解説】

GDP経済

GDP(国内総生産)の話です。

GDPという言葉はニュースや新聞でよく見かけます。しかしその実態はつかみにくく、ややもすると数字のマジックに騙されて本質を見失いかねません。

今回はGDPが経済の動向においてどのような意味を持つのか、どのように読み解くのかを分かりやすく解説します。

GDPとは何か

GDPとは簡単にいうと、国全体で1年間に儲けた金額のことです。

そのため、景気の良し悪しを判断するために活用します。

GDPはあくまで自国内で行われた生産に対する金額です。

海外で生産された場合は、GDPには含まれません。

例えば、国内で作った原価100円のお菓子があるとします。これを国内で300円で売った場合、売値300円ー原価100円=200円が利益として計上されます。

これが日本の工場ではなく海外の工場で作り、日本で販売した場合の利益は、GDPには含まれません。また同様に海外の工場で作り、海外で販売した場合もGDPには含まれません。

国内で生産し、国内で販売した品物によって発生した利益だけが、GDPとして計算されます。

< GDPとは? >

・自国内で1年間にもうけた金額

・自国内で生産、販売した商品やサービスの売り上げによって発生した利益のみ計上

 

 

 

 

 

GDPの内訳

GDPには以下の4つの内訳があります。

 

・消費

・投資

・政府支出

・貿易収入

 

 

消費とは総勢1億2300万人の日本人が生活のために使ったお金の事です。

 

生活者の支出がGDP全体の約6割を占めています。

 

 

投資とは、企業が行う投資のことです。

 

 

 

政府支出は、政府が使ったお金

 

 

 

貿易収入とは、輸出額から輸入額を差し引いたお金のことです。

 

 

 

GDP=民需+政府支出+貿易収入の式によって算出されます。

 

 

 

 

2種類のGDP

GDPには4つの内訳の他に、以下の2つの種類があります。

 

・名目GDP

・実質GDP

 

 

 

名目GDPは、現在の物価で算出したGDPです。

 

さらに名目GDPの場合は、価格変動や生産数の増減による影響を強く受けます。

 

 

 

一方の実質GDPは、ある時点での貨幣価値に換算したGDPの数字であり、名目GDPよりも正確な経済成長率の測定ができます。

 

 

 

名目 GDP の特徴

名目GDPには以下のような特徴があります。

 

・現在の物価で計測された国内総生産

・貨幣価値の変動が考慮されていない

・価格の上昇や生産数の増加の影響を受ける

・経済の状況を表現するには正確さに欠ける

・ 国民総所得(GNI)と同じ数値

 

 

例えばあるパン屋で、1年目は一個あたり100円のパンを100万個生産したと仮定します。

 

そこから生み出された名目 GDP は、100円×100万個=1億円です。

 

 

2年目は原材料の値上がりに伴い、パンが一個あたり110円に値上がりしました。

 

生産数は100万個で変わりません。

 

 

この場合の名目 GDP は、110円×100万個=1億1000万円です。 

 

 

名目 GDP だけを見ると、1年目より2年目の方が1000万円売り上げが上がり、名目GDPも1000万円上昇しています。

 

 

しかし名目GDPは原材料費の値上げに伴う値上げを考慮していません。

 

 

名目GDPをみると純粋に売上の金額の推移を追うことはできます。

 

 

しかし名目GDPだけを見て、このパン屋の利益の変動を判断することはできません

 

 

 

 

実質GDPの特徴

実質GDPの特徴も見ておきましょう。

 

・ある時点の貨幣価格を考慮したGDP

・売り上げた数量ベースで算出する

・経済状況の推移を読み解くのに適している

 

 

 

さきほどのパン屋の例えをもう一度考えてみましょう。

  

1年目については、実質 GDP も100円×100万個=1億円です。

  

 

しかし2年目は様相が異なります。

 

実質 GDP を算定する時は、物価変動部分を取り除きます

 

原材料費の値上げに伴って値上がりした10円分を除いて実質 GDP の算定をしなければなりません。

 

つまり実質 GDP は(110円ー10円)×100万個=1億円となります。

 

 

実質 GDP で見ると1年目と2年目では利益に変動がなく、経営状態が上向いてはいないことが分かりました。

 

 

このように、実質 GDP は正確に経済状況を図るための指針として活用できます。

 

 

 

 

GDPの数字マジック 

CDP は本来、景気の動向を表す指標として用いられます。

 

例えば GDP がプラス成長した場合、理論上は以下のサイクルに入るはずだからです。

 

個人消費が増加する

→企業の利益が増える

→給料が増える

→さらに個人消費が増加する

しかし現在の日本では僅かながらでもGDPはプラス成長しているにもかかわらず、個人消費が冷え込んでいます。

 

そのため景気が良くなっている実感は全く持てない状況です。

 

 

これは、働き方改革の影響を受けた結果、以下のようなサイクルが始まったせいと言えるでしょう。

 

働き方改革

→労働者: 短時間で高い生産性労働する

→企業: 生産性向上と税制の優遇措置により利益が増える

                 →利益を設備投資に回したり、余剰金として抱え込む

      →労働者の賃金が上がらない

      →個人消費はさらに冷え込む

 

 

この悪循環が現在の日本経済です。

 

 

そもそも経済理論は、経済社会の構成要因が常に理性的で合理的に動くことを前提にしています。

 

利益が出ても企業が労働者に還元しなければ、景気は悪くなります。

 

得た収入を消費しないでタンス貯金にしていたら、景気は悪くなります。

 

お金を止めることなく適正に回し続けなければ、数字上は景気が良くなっているように見えても、経済は上向きません。

 

 

GDPは景気動向を大まかに把握するには便利な数字ですが、表面的な理解だけでは景気の本質を理解できません。

 

 

 

 

 

GDP世界第3位の日本は経済大国ではない

IMF、国際通貨基金の統計データによれば、2020年の世界各国の名目GDPでは日本は世界第3位の大国です。

 

画像引用:GLOBAL NOTE

 

 

 

しかし、この数字はある種のマジックです。

 

GDP上位にランクインする条件は、労働人口が多いこと。

 

つまり、GDPだけで国民の豊かさを推し量ることはできません。

 

また、それぞれの国で物価も異なります。

 

 

各国の物価水準を反映したGDPが、購買力平均価GDPです。

 

 

画像引用:GLOBAL NOTE

 

 

購買力平均価GDPでは、物価水準が日本より安い中国が1位に躍り出ています。

 

一方の日本は4位に順位を落とします。

 

 

さらに、国民の豊かさを示す購買平価GDPの一人当たりのGDPを見ると、日本は世界30位です。

 

 

なお、名目GDP第1位のアメリカは7位、2位の中国は73位です。

 

 

ところが、野村総合研究所の調査によれば、日本の富裕層は133万世帯でした。

 

これは、前回2017年時点の調査の126.7万世帯より増加しており、過去最多となっています。

 

資産を運用して不労所得で生計を立てる富裕層と、労働による所得に頼る層の経済格差が拡大しています。

  

 

 

GDPの数字に誤魔化されず、本質を見極める

GDPは、景気の動向を把握する便利なツールです。

 

しかしGDPは経済動向の全てを表現する物ではありません。

 

それぞれのGDPが示す意味を正確に理解して、経済動向への正しい理解を深めたいものです。

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